top of page

ABOUT US

子午線の町、明石を拠点に活動する3人組ヘヴィ・メタル・バンドです。

 

 

 

​エピソード1 「アビー・ロード」

 

 

80年代、西明石の駅の南に「アビー・ロード」という中古レコード・ショップがあった。
狭い店内に入ると、おじさんがレジカウンターで煙草をくゆらせながらセミアコのギターを

つま弾いている、そんな店だった。

当時のロック少年達は放課後や学校帰りに、時には学校をサボって店に立ち寄り、

レコードを物色する。おじさんからロックの名盤を教わって、買って帰る。

1985年のある日。

その日も大ちゃんとたけちゃんは、学校帰りにアビー・ロードに立ち寄り、

アナログレコードを漁っていた。


二人の通うM高校から近場なのもあって、アビー・ロードでM高校の制服姿はよく見かける。


棚に詰め込まれた大量のアナログレコードのジャケットを指でペラッ、ペラッ、とめくって、

1枚1枚、ジャケット、アーティストを確認する。
週に2~3回はこの作業をするものだから、手慣れたものである。


大ちゃんがお宝を見つけたような表情で言った。

「お、クイーンのロジャー・テイラーのソロアルバム!まだ持ってへんねんなぁ。どうしよっかなぁ。」
「いや、この値段なら買いやろ~。」とたけちゃん。

その時、1枚のレコードをレジに持っていく少年がいた。大ちゃん、たけちゃんとは違う制服を着ている。
手にしているレコードはYESの「トーマト」だ。
レジカウンターでおじさんが少年に言った。「マミヲ君、この前のボストンはどうやった?」
「マミヲ君」と呼ばれたその少年が答える。「うん、良かった!思ったより聴きやすかったわ。」

おじさん「プログレとか聴くんやったら・・・」とおもむろに椅子を離れ、「W」のレコード棚から出してきたのはウェザー・リポートの「ブラック・マーケット」だった。「これ、凄いで~。」
この少年マミヲがウェザー・リポートのレコードを買うのは、まだまだ先の話である。

当時の彼にはジャケ買いするにも渋すぎた。

YESのレコードを買ったマミヲが大ちゃん、たけちゃんの横を通り過ぎて店を出る。
大ちゃんが手にしているロジャー・テイラーのレコードを見て、心の中で呟く。
「そのアルバム、絶対に『買い』やで!」

月日は流れ、アビー・ロードはもう無い。

大ちゃん、たけちゃんとマミヲが実際にアビー・ロードで遭遇したかどうか、誰も知らない。
彼ら3人は2016年、M計画というバンドで同じステージに立っている。

 

 

 

※写真はアビー・ロード跡地。2006年頃撮影。閉店後は長らくシャッターが閉まっていたが、

 このように店構えは残っていたようだ。マミヲの友人N氏が前を通りかかった時に珍しくシャッター

 が開いていたとの事で撮影。現在は改築されて、別の店舗が入っている。
 

bottom of page